経営者の皆様、こんにちは。

今日は「IT人材を体系的に育成するためのツール」というテーマでお届け致します。移り変わりのスピードが早く、ついていくのが難しいITの世界ですが、そのITを活用する人材を育成することは困難を極めます。IT活用の人材育成の面でお悩みの経営者様も多いかと思います。そこで今後は人材育成に役立てることができそうな標準やツールについてご紹介して参ります。今回は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が展開する各種標準をご紹介致します。

IPAが展開しているスキル標準にはいくつかの種類がありますが、それぞれ生い立ちが違いますので、まずは全体像をご説明致します。

ITスキル標準の歴史

このように、ITSSと呼ばれる標準を皮切りに、ETSS、UISS、CCSF、iCDという流れとなります。それぞれの関係性を参照しながら、下記の概略をご覧ください。

­

ITスキル標準(ITSS)

ITスキル標準V3ダウンロード

ITスキル標準は2002年に初版が公開され、2012年3月の V3 2011 が最新版となります。

ビジネス環境の変化を背景に、高い専門性を持つ人材の必要性が高まり、戦略的で体系的な人材育成の重要性が増す一方、スキルと調達方針を明確化できる具体的な方針が存在しなかったこと。また、ITについては企業内だけでなく市場価値のある人材に育つため、個人が具体的なキャリアパスをイメージできる客観的なスキル標準が存在しなかったことから作成されたものです。

分かりづらいIT人材のスキルに客観性をもたせることで、人材個人としても組織としても、同じ「言語」で議論できる環境ができたことになります。

組込みスキル標準(ETSS)

ETSS

組込みスキル標準(ETSS:Embedded Technology Skill Standards)は2005年5月に制定されました。自動車や携帯電話、家電製品などに組み込まれる電子機器の制御用ソフトウェアの開発スキルを客観的に把握できるよう体系化したものとなります。

昨今のIoT活用の波を受け、組み込みソフトウェアは益々活用され、その開発者の人材育成の重要性も増しています。

ETSSはスキル標準、キャリア標準、教育研修標準の3つから構成されています。

情報システムユーザースキル標準(UISS)

情報システムユーザースキル標準(UISS)

2010年に公開された標準で、最新はV2.2となります。

情報システムを利用する企業のためのスキル標準をまとめたものとなります。ユーザー企業側として必要なIT人材の標準をわかりやすく整理したものとなります。

公開されている資料には「UISS」「有効活用ガイド」「モデルカリキュラム」「研修コース設計ガイド」「導入テンプレート」などがあります。

情報システムの管理体制についても、自社のみの場合、情報子会社やITベンダを活用する場合などの違いを考慮されていますので、自社に適用する際により近いテンプレートを活用することで、導入の初期作業の効率化や工数の軽減などはかることが出来ます。

共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)

CCSF

上記でご紹介しましたITSS、UISS、ETSSの3つのフレームワークを実際に活用しようとすると、自社に適用するためカスタマイズしたり、複数の標準を導入活用するのにおいて企業における負荷が高いことが課題となりました。そこで、「タスク(機能役割定義)」「スキル」「人材(職種/人材像)」の観点で再整理した体系が考案され、CCSFとして2012年3月に公開されました。

これによって、タスク(機能役割)が決まれば必要なスキルがわかるようになり、そのスキルを充足する人材とレベルまでの視認性が向上しました。

iコンピテンシディクショナリ(iCD)

iCDオフィシャルサイト

企業においてITを利活用するのに求められる業務と、それを支えるIT人材の能力をディクショナリ(辞書)として体系化し、2014年に試用版、2015年に正式版が公開されました。ここまで説明してきた各種標準の流れを汲み再整理されたもので、視認性がより向上し、自社への適用のハードルも下げられたものとなります。

自社の業務の達成状況の把握、問題箇所の把握、解決策の気づき、戦略の策定の点で客観的、体系的、網羅的に利用することが出来、自社のIT人材の有無、今後の育成戦略、具体的な計画への落とし込みに活用できるものとなります。

iCDオフィシャルサイトではツール(タスクディクショナリ、スキルディクショナリ、ディクショナリ間連携、iコンピテンシディクショナリ解説書、iコンピテンシディクショナリデータセット、iCDロゴ)のダウンロードが可能です。また、iCDを活用している組織に対し、iCD活用企業認証制度があり、iCD Blue、Silver、Silver Plus、Gold★、Gold★★、Gold★★★の6段階が認証され、成果の上がっている企業としてiCDのオフィシャルサイトに公開されることで、自社ブランドの向上に繋ぐことが可能です。

なお、コンピテンシとは、高い業務成果を生み出す顕在化された個人の行動特性を指す、ハーバード大学の学者マクレランドが中心となって考案した概念です。

ITSS+(プラス)

ITSS+

現在は”第四次産業革命”と呼ばれ、IoT[note]IoT:Internet of Things。モノのインターネット。あらゆるモノがインターネットに接続され、データが蓄積、分析される仕組み[/note]、AI[note]AI:人工知能[/note]、データサイエンス[note] データに関する研究。大量のデータから、数学や統計などを用い、パターンの発見、データベース化、可視化などを行う取り組み。[/note]などの新たな領域が開拓され、IT投資の舞台もビジネスのバックエンド的な役割から、売上や利益の拡大を目的とするフロントエンドへと移りつつあります。このため、新しい舞台に立つ人材を育成するためには、 “安定性・信頼性を確保しつつ、スピードや柔軟性を追求・実現する IT投資の最適解を担う人材”(IPAのサイトより引用) を確保すべく、学び直しの育成を検討していかなければいけません。

そこでITSS+が発表され、「セキュリティ領域」「データサイエンス領域」「IoTソリューション領域」「アジャイル領域」が策定されています。

なお、 ITSS+は、学び直しの指針に限定するため、 これらは先の「ITSS」に統合されるものではなく、 人材の評価・調達等での活用は想定せず、それぞれの領域で固有の整理を行っているという点が注意すべき点です。


このように多くの標準が作られIT人材のスキル体系化がされています。iCDの登場により効率よく自社へ適用できる時代にはなりましたが、わかるラボではIT人材に関し、現状把握から育成計画の策定、フォローアップまでお手伝いが可能です。ご興味のある方はまずはお問い合わせフォームよりご一報頂けますと幸甚です。

本日もブログをご覧いただきありがとうございました!

最終更新日:2019年1月20日